家守奇譚
秋に成ると梨木香歩が読みたくなる
このひと寡作なので、何回か読み返す事となる
涼しい木陰で、読むにはとてもいいのだ
ただ読むにはとても難物もある
「家守奇譚」は2004年の作品
同じ頃書かれた「沼地のある森を抜けて」は吹雪の中央線で読んでいた
両方とも不思議の世界の話
この本の主人公は知りあいの高堂の父に頼まれて、家守をすることになる
28の章はすべて植物の名前が付けられている
亡くなったはずの高堂はちょくちょく顔をみせる
河童も龍も出て来る
不思議世界満開なのだ
しかし
この本を読みすすむほどに、僕はなんとなく懐かしいおもいにとらわれる
日本古来の怪しの世界にどっぷりとひたることが出来る
それはなぜかこの日本が失った
古き物たちの大事な息吹に聞こえるのだ
一読をお奨めしておこう