府中市民交響楽団第75回定期演奏会
今回の演奏曲目をみたとき
期待と不安が混じり合った
よく知られた曲の選曲だったからだ
よく知られた曲はどうしても、世界の演奏と比べられる
今回は「風ひかるとき」と題して
ムソルグスキ-「はげ山の一夜」
レスピーギ「ロ-マの松」
ヴェ-ト-ベン「田園」
の3曲が演奏された
指揮は田部井剛氏、このオケをもっともよく知っている指揮者である
何年か前、ピアノの指揮ふりで「ラブソディ・イン・ブル-」を聞かせてくれたときは
感激してしまった
期待は否が応でも高まる
さて最初は「はげ山の一夜」
この作品、15分程度の短い中に
真夜中の魔物達の恐ろしさ、そして最後の救いを表さなくてはならない
いつもとっかかりでつまずく、このオケだが
今日はすんなりと観客を引き込んだ
ストリングスは腕達者が揃っているので、あたりまえといえば当たり前か
見事に、魔物達の夜を魅せてくれた
素晴らしい
そして二曲目「ロ-マの松」
この曲は4つの松をあらわしている
一つ目は子供達があそぶ、ボルゲーゼ荘の松
二つ目は古代ローマでの初期キリスト時代の墓、カタコンバ付近の松
三つ目は満月の中に浮かぶ、ジャニコロの松
そして
四つ目は古代ローマの進軍道路として使われたアッピア街道の早朝の松
ロ-マの歴史がレスピーギは自身の得意としていた色彩的なオーケストレーションで現出するのだ
それぞれの風景のなかに
途切れはない
つまり、時間と風景を現出させることができなければ
失敗なのだ
なんとかやりきったといっていいだろう
素晴らしい
そして三曲目は「田園」
第一楽章を知らない人はいないくらい有名な曲だが
実は第五楽章まである
約40分の大作
途中でこけると、聴衆にとっては苦役に変わってしまう、難物なのだ
全体は優しい調べにできあがっていた
心地いいのだ
あっというまの40分だった
もちろん万雷の拍手
へんなブラボーおじさんがいたが
まあ馬鹿はほっておいて
出来ばえはなかなかよかった
その証拠に会場を後にする人達の足取りがかるかったこと
(あんこ-ル曲はなかった)
観客は7割の入り、空席がめだった
まことに、もったいない、もったいない