千里眼事件
御船千鶴子の「千里眼事件」は明治末期のトピックであった
ウィキペディアでは、嘘のたぐいとして
処理されてしまっているが
正確ではない
本書はこの事件の背景を描き
御船千鶴子の透視能力については結論はだしていない
科学的には証明されない事象について、人間は自然な発露としての執着心をもつ、それが体系化されるとき「信仰」とよぶ
科学は近代以降、結論を強いるものとなった
そしてこの事件は、新聞というメディアにより、広がり、一気に消費され消え去った。科学的な検証というよりは知ることと信じることとの乖離が現出しただけだ、と筆者は述べる
この事件がもうひとつ、話題になったのは
当時のアカデミズム、東京大学の福来友吉氏が実験により
解明しようとしたことである
ここでこの本を取り上げたのは
「サイキック」byコリンウィルソンの話につなげるためである
御船千鶴子は「貞子」の母として、小説・映画に登場することになる