読み終えてしまうと
やっぱり、村上春樹氏は
こういう終わらせ方しか出来なかったのだろうと
妙に納得してしまった
60を遙かに過ぎた作家が描く主人公
多崎つくるは36歳、
名古屋出身の独身、駅を作るエンジニア
かれには高校時代仲のいい4人の男女がいた
その四人の名前にはすべて色がついていた、
赤松
青海
白根
黒埜
である
5人は高校時代の仲良しグル-プだった
一人だけ名古屋から東京の大学に進学した、多崎つくるは
20歳の時、4人から絶交されてしまう
36歳の時にできた
38歳のガ-ルフレンド沙羅はその4人に会って
なにがあったのか聞くことが大事だといい
4人の居場所を突き止め
つくるに過去探しをするようにいう
つくるは巡礼にでる
というのが大筋なのだが
主人公に主体性はない
16年もの月日は人間を変えてしまうには充分な年月なのだ
マドンナだったシロは16年前にレイプされ
妊娠し流産し、そして6年前に誰かに絞殺されて
すでにこの世にはいない
もうひとりの女性、クロははるかフィンランドにいる
男二人には、名古屋で会うことになる
男二人はつくるをグル-プから排除したのは
誤解による間違いだったと気がついている
この作品の白眉はつくるがフィンランドまで、クロに会いに行くところだろう
クロは昔、つくるが好きだった
いまはフィンランド人と結婚し、子供が二人居る
そのクロは沙羅を逃してはいけないという
さて
主人公は精神的に
高校生からは一歩も前に進んでいないことに
読者はきづかされる
沙羅に他の男の存在を聞いてしまい
待たされたままエンディングとなる
そうこの物語は
巡礼はまだ終わってはいない
次の一歩はこの先に存在している
さすが偉大な習作作家らしい結末のつけかたである