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コンサルの独り言

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マ-ケテイング・コンサルタントの独白です。

江戸の恋・田中優子著

江戸の恋という本は
江戸時代の負のイメ-ジを払ってくれる

江戸時代にスト-カ-はいない
なぜなら
恋をするという事は閉塞ではないからだ
と田中先生は言う
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生活の中に常に他人の目がある
個人としての私と、社会としての私がいることになる
これを「粋」というのだそうだ

さてそれ以外にも
現代では消えてしまった意識が存在する
「好色一代男」の世之介は七歳の時厠で、召使の女に明かりを消すように言い
「恋は闇夜」という、親は笑う
九歳の世之介は、女の行水を見て、おどしをかける
親は腹を抱えてわらう
なぜなら
この時代、七歳になるまで大部分の子供は亡くなるからだ
性に関心を持つ子供というのはめでたいのだ

この時代にあって
現代にないものは
「心中」
「男色」
「老いらくの恋」
だろう

どれも死と裏表のはなしなのだ
心中は心中だてといい、一緒に死ぬことだけではない
起請文を書き、霊力の宿る髪を切り相手に渡す
彫り物を彫る、指を切り相手に渡す
そこまで行き、一緒に来世を誓い死の心中をするのである
その美学は
浄瑠璃という形で開花する

男色は江戸ではおおぴらなものだったのに、明治維新からは日陰に追いやられた
クリスチャン化の進行と不可分ではない
ようやく最近になり、復権の兆しが見えた

そして老いらくの恋である
死を意識したとき、恋はよりいっそうの輝きを増す
肉体の衰えともあいまって
執着することになる
その執着をいやらしいと、毛嫌いしない社会が江戸時代だったのだ
これも明治維新で日陰においやられたが
また復権しつつある

こうしてみると
「江戸の恋」のスタイルというのは日本人の本質だとおもう
長年捻じ曲げられていただけなのだ
by kongojiamarron | 2016-02-10 02:15 | 風景 | Comments(0)

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